【旧南川小学校】〜飯能市の廃校した小学校

鏡花水月

すでに閉校した小学校の旧校舎です。
敷地には明治時代と昭和初期に建てられた2つの校舎が残っています。
今年9月に秩父を訪問した時、国道299号を走りながらひと目見て下見板貼りのこれはレトロ建築に違いないと思ったのが昭和校舎の背面でした。
この国道は片側1車線でこの辺りは信号もほとんどなく停車しにくく、並行して走る秩父線の駅名をチェックして位置を絞り込み後から探しました。


202012261758288e3.jpeg



行ってみると校門にロープが張ってあり入っていいかどうか迷いました。
近くにちょうど背中に飯能市と書いたナイロンベストを着た男性の方がいらしたので外観を見学したいとお話ししたら「いいよ」と言っていただきました。
「近くには北川小学校もあるよ。
桜の頃が綺麗なので、春になったらまたおいで」
と優しいお言葉をいただきました。
ありがとうございます。




明治校舎(明治37年)】
全体の外観です。
逆光で玄関のある面が真っ黒になってしまったので明るく修正しています。
木造の平屋建てで、屋根は寄棟桟瓦ぶきです。
窓の下は下見板張りになっています。
窓が並んでいるのが学校らしいですね。



20201226175844c76.jpeg



玄関のあたりです。
これを『入母屋土庇』と呼ぶそうで寺院のような造りです。
なかなか凝っていますね。
正面の軒下に蟇股(かえるまた)があります。
私の思うスタンダードな蟇股のカーブとは少し違いますが面白いです。
三角の頂点の金具が白く矢羽のようなギザりがあって、離れて見ると富士山のようなデザインだなと思いました。



202012261759074ea.jpeg



角度を変えて撮りました。

20201226175844e76.jpeg





【昭和校舎(昭和12年)】
明治校舎は校庭に面して建っていますが、昭和校舎は斜面に建っています。
2階建ての木造校舎で下見板張りです。
国道を運転しながらチラッと見た時は旧役場かなと思いました。
きちんと見ると役場にしては大きいですね。
戦前の学校建築は都内にある関東大震災後の復興小学校が強く印象づいているらしく、この建物が小学校だと初見では全然思い浮かびませんでした。
昭和10年代の学校建築の様式だそうで、近代建築の小学校のイメージを広げることができました。



20201226195521196.jpeg



玄関は漆喰です。
斜面に建っているので近づくと距離がなく見上げる角度になってしまいます。
前に桜の木があるので冬枯れていない季節は撮れない玄関です。
桜の頃に来たら風景は美しいけれど、建物はきれいに見えにくいという…アンビバレンツで悩ましい…


20201226195534de5.jpeg



国道299号側ですが横面。
逆光で国道に面した側は虹色の光輪が入ったり、iPhone特有の水色の玉が出たり、真っ黒くなったりで画像は全滅。
国道側を撮るならお昼から午後が良さそうです。



20201226195528434.jpeg



『南川小学校全図』
明治校舎の横面にあります。



2020122619554038a.jpeg



2020年12月上旬撮影


竣工:明治37年、昭和12年
住所:埼玉県飯能市南川154
特徴:《下記サイトからの引用》
南川小学校も、北川小と同様に明治7年創立、平成5年閉校。明治37年建築の校舎と、昭和12年に建築された校舎がともに現存し、保存・管理が行き届き、映画などのロケに活用されることもある。
 明治校舎は、木造平屋建て寄棟桟瓦ぶき、外壁下見板張り、玄関は入母屋土庇で寺院のような造り、正面軒下には、上の荷重を支える板蟇股(かえるまた)が設置されている。昭和校舎は、木造2階建て寄棟トタン板一文字瓦、外壁は下見板張り、玄関は、西洋風な漆喰(しっくい)造りで、昭和10年代の学校建築の様式。




文化新聞 BUNKA ONLINE NEWS
旧南川小等保全に弾み 市指定文化財候補に
投稿日 : 2017年8月4日

http://www.bunkashinbun.co.jp/wp/2017/08/04/%e6%97%a7%e5%8d%97%e5%b7%9d%e5%b0%8f%e7%ad%89%e4%bf%9d%e5%85%a8%e3%81%ab%e5%bc%be%e3%81%bf%e3%80%80%e5%b8%82%e6%8c%87%e5%ae%9a%e6%96%87%e5%8c%96%e8%b2%a1%e5%80%99%e8%a3%9c%e3%81%ab/



秩父 #飯能市 #レトロ建築 #小学校
スポンサーサイト



Comments 2

There are no comments yet.
kozoh55
さすが飯能市

残してくれてますね、レトロ建築を
明治の建物は、入口がまさにお寺のような風情なのが
とても印象的です。

どこかから狛犬が出てきそうな気がします。
学校が目指した格式の高さが伝わって来ますね。
昭和建築はやはり入口漆喰、どんな商が施されているのか
仕上がり感はどんななのか
確かに名物の桜が邪魔をしているなんて、なんとも言えないですね。
見てみたい場所がまた見つかりました。
この1年、沢山の貴重な情報をありがとうございます。
鏡花水月さんに出逢えたことに感謝!です。
本当にお世話になりました。
2021年が良き1年になりますようお祈り申し上げます。
kozoh55


  • 2020/12/28 (Mon) 10:15
  • REPLY
鏡花水月
鏡花水月
Re: さすが飯能市

kozoh55様、こんばんは!
ご訪問&コメントをありがとうございます。

都内は関東大震災の時にかなりの建物が倒壊したので、明治期のたてものがほとんど残っていないらしいです。
私にとって明治時代のたてものは見られただけでもラッキーです。
ホントに狛犬がいそうな構えです。

こちらこそkozoh55様のパワフルでありながら詩情のある記事に触発されています。
ありがとうございましたm(_ _)m
来年がどんな年であっても、まちかどから小さな発見を掬い取れる感性を持ち続けたいです。
良いお年をお迎えください。

  • 2020/12/30 (Wed) 18:37
  • REPLY